ていうか、アニメ漬けの54歳無職なんだが!
アニメ「平家物語」
多分、2022年冬期も明るく楽しく面白い深夜アニメは一杯あると思うし、逆にシリアスなアニメ群も一杯あると思うけれど、それらとは別に、フジCX系深夜ULTRA+枠ではじまった「平家物語」(監督はけいおん!!の山田尚子、脚本吉田玲子)は見るべきアニメ作品じゃないかなと思います。
映像も綺麗だしキャラもすごくいい、なんていうか絵柄的に、竹久、中原、林静一ときて、これ、という感じ?少し虚無的に山本タカト氏の絵とも接線持っているかもしれない。浮世絵、日本画的というのかな。
なんていうか、学校の授業でタイトルをみんな聞かされる古典作品(元々琵琶法師の口伝)だけどみんなあまり知らない作品の典型で、でもイントロの出だしはみんな知っているわけだけど、たぶんみんなの思ってる一義的な作品にはならないと思う。監督と脚本は間違いなく、京都アニメーションの悲劇で最も悲しんだ人々の中の一人で、コミケの2年近くの休止もあり、疫病の流行る現代も見ていて、その上でこの作品を作っている、と感じる。
だから、たぶん「奢れる平家」がテーマになるかといえば、そこにスタッフの視点はなくて、むしろ重きが置かれるのは、「盛者必衰」の方かもしれない。京アニもコミケも世界も、みんなの視点ではそんなに悪くもないのに(みんなそう思っている、正しい場合も違う場合もある)ああなってしまっている、その現実を思いながら見ると、作品の言いたい事が伝わるかも知れない。
時の権力者は、その時だけのものでしかなく、いずれ代替わりする、それを見続けている主人公は、監督脚本スタッフとイコールかもしれないし、そうではないかもしれない。それを違うものにしそうなのは、びわが未来を見る目を持ち、重盛が死者を見る目を持つというギミックで。
そこはまだ、1話がはじまったばかりなので、分からないよね。
ボク的視点で、あえて一つ書くなら、貴族社会が終わって武家社会が来たから正しいのではないのだ。集団による人殺しが強い方が生き残り幕府を代替わりするという呪いから武家社会は逃れられず、軍国社会も逃れられない。いわばこの口伝の物語は、後の武家家系や軍人家系に対する警鐘で予言で呪いで宣告だ。人を支配し時には殺す権力は、常にいつか衰亡する運命といえる。後の数百年間のそれこそ無数の武士たちも軍人たちも、それを予言されていて、永久に逃れる事はできなかった。
さて、今はどうか?…と。変わらない。
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